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役立ちコラム

2024年問題とは?ドライバー不足は共同配送で解決?物流の課題と展望

2022.03.18

物流業界が抱える問題の1つに、「2024年問題」と呼ばれるものがあります。2024年問題が物流業界・荷主側へ与える影響は、どのようなものなのでしょうか。今回は、2024年問題によって考えられる問題や物流業界の今後の動向、問題解決に向けた取り組みの案を紹介します。

 

 

近い将来物流会社の利用料金が上がるかもしれない?

2024年を皮切りに、現在利用している物流会社の利用料金が上がって思わぬ出費が増えるかもしれません。その背景の1つに、物流業界が直面しようとしている「2024年問題」が関係しているのです。

2024年問題とは、ドライバーの人材不足や労働時間の制限によって発生するとされるさまざまな問題のこと。2024年問題は物流に従事するドライバーの収入減少や物流会社の利益減少につながるだけでなく、物流会社を利用する側の利用料金負担増にもつながると考えられています。

「2024年問題」と利用料金の関係性とは?

そもそも2024年問題とは、「働き方改革関連法」が自動車運転業務に適用されることで起こるとされる問題です。

具体的な内容としては、労働基準法による、ドライバーの時間外労働の上限設定が行われます。2024年4月から自動車運転業務、建築業、医師、そして鹿児島県および沖縄県における砂糖製造業に従事する労働者の時間外労働は月45時間、年間960時間までと設定され、労働者を雇って管理する企業や個人事業主が違反した場合は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるおそれがあるのです。このように働き方改革関連法には明確な罰則も規定されており、強制力のある法案だといえるでしょう。 しかし自動車運転業務に該当する物流業界は、人材不足や人材の高齢化といった問題を抱えているのが実情。現時点で、すでに時間外労働の上限いっぱいで業務を展開しているのです。

 

2024年問題によって時間外労働の上限が設定されることで、現在の仕組みが破綻してしまい、ドライバーの収入や会社の利益が減少してしまうことが予測されます。 その結果、収入や売上の減少分を利用料金増加という対処法で、カバーしようとする動きも活発化すると考えられます。物流会社やドライバーの視点で見ると、利用料金の増加は時間外労働時間の上限を守りつつ、収入・利益を確保できる対処法です。 しかし、荷主側の視点からすると利用料金の増加は大きな問題です。物流にかけるコストが増え、影響を受ける可能性が高いでしょう。物流会社に「労働環境の改善に協力してもらえないのであれば、仕事は辞退する」という対応をされることも考えられます。

物流業界の今後の動向

物流業界では、ドライバーをはじめとする人材不足が懸念されています。長距離トラックのドライバーは、低賃金・長時間労働にあたることが多く、「労働環境が厳しい」、「心身への負担が大きい」というネガティブなイメージも定着しているのが現状です。加えて、現役ドライバーの高齢化も進んでいます。現役のベテランドライバーが引退した後、「次世代のドライバーが集まらないのでは」という点も懸念されているのです。さらに、配送の早さや送料の安さなどを売りにした物流会社も増えて競争が激化し、ドライバーにさらなる負担がかかっているという現実もあります。

 

人材不足が深刻化する一方、サービスの需要は増え続けているのが物流業界。物流の需要増加に拍車をかけているのが、ECサイトの利用増加です。ネット通販の利用ユーザーが増えたことで、企業だけでなく個人を対象とした配送の機会も一般的になりました。近年では、新型コロナウイルスの影響によって、巣ごもり需要が増加しました。今後も、こうした物流の利用機会は増えていくでしょう。 そこで重要なのが、「輸送コストの軽減」と「輸送体制や物流拠点の見直し・構築」です。特に、今後は物流拠点の分散化が進むと予測されます。物流拠点が複数に分散されることで、荷主やユーザーとの物理的距離を縮めることができ、結果的に配送コスト削減につながるためです。加えて地震や豪雨、台風といった自然災害が発生しても、物流拠点が複数あれば、配送が完全停止になるリスクも軽減できます。

 

大和物流は、豊富なネットワークを活かして日本全国で物流センターを運営しています。お客様に最適な物流拠点をご提案し、リスク分散・輸送体制の見直しをサポートします。
大和物流の物流センターについての詳細は、以下のページからご確認いただけます。

 

 

2024年問題」を解決するための取り組み

「2024年問題」は、物流会社だけでなく荷主側にとっても大きな問題です。2024年問題の解決方法としては、「モーダルシフト」「中継輸送」「共同配送」「在庫拠点の分散化」などが挙げられます。以下では、これらの方法について詳しく解説します。

モーダルシフト

モーダルシフトとは、トラックの代わりに鉄道や船舶を使ってモノを輸送することです。鉄道や船舶はトラックよりもさらに長距離の移動が可能なうえ、環境負荷が小さく、一度に物品を大量輸送できることがメリットの1つです。その結果、ドライバー不足の解消や業務の省力化につながるとされています。長距離であり、かつ大量輸送をするケースであれば、トラック輸送よりもモーダルシフトによる輸送が効果的だといえます。加えて、鉄道や船舶はトラックをはじめとする乗用車と比較すると、二酸化炭素排出量が少ないこともわかっています。環境保全に役立つとして、モーダルシフトはSDGsの観点からも注目を集めているのです。 とはいえ、モーダルシフトには課題があるのも事実。例えば、「トラック輸送と比べるとリードタイムが長くなるケースが多いこと」が挙げられます。

 

「リードタイム」とは、サービスや商品を発注してから納品されるまでにかかる日数・時間のことをいいます。鉄道や船舶はトラックとは異なり、駅から駅・港から港への輸送に限られてしまうのが課題です。到着の度に積み替えの手配が発生し、リードタイムが長くなってしまうことが考えられます。また、駅や港などの発着地点での品質管理や人員配置についても考慮しなければなりません。

 

大和物流では、モーダルシフトによる物流サポートの事例もあります。
事例の詳細は以下のページからご確認いただけますので、ぜひご覧ください。
モーダルシフト事例―大和ハウス工業株式会社様

中継輸送

中継輸送とは、複数人のドライバーがリレー式にモノを運搬する輸送形式のことを指します。1人のドライバーが長距離の輸送を担うと、どうしても労働環境は過酷になります。そこで複数のドライバーによる中継輸送を導入することで、ドライバー1人あたりの負担が減り労働環境の改善効果が期待できるのです。 中継輸送の課題として挙げられるのが、中継によるリードタイムの変更や品質管理のコストです。中継地点で物品を積み替える作業が発生すれば、それだけリードタイムが伸びてしまいます。また、積み替え作業による物品の破損といった品質リスクも考えられるのです。

共同配送

物流会社間で連携して行うのが共同配送です。複数企業の物品を同じコンテナやトラックで輸送することで、より効率的な輸送が可能となり、トラック台数も削減できます。同時に長時間労働の改善や荷役作業の負担削減にもつながり、人材不足の解消も期待できます。 物流拠点の課題は、柔軟な対応が取りにくいという点にあります。例えば、提携した物流会社によっては、輸送ルートを大きく変えざるを得なくなり、かえって負担が増えてしまうこともあるでしょう。物品の追加積載もしにくく、関係者間での調整が必要となります。加えて、配送状況が把握しにくく、物品の現在地の追跡や到着日の予想が難しくなることも難点です。

 

大和物流では、共同配送のサービスも実施しています。全国エリアを対象にした「中ロット貨物・全国エリア共同配送」では、一般の路線会社に運んでもらえない全国の工務店・工事現場へ中ロット貨物を共同配送しています。
サービスの詳細や事例は、以下のページからご覧いただけますので、ぜひご確認ください。
中ロット貨物・全国エリア共同配送

共同配送事例―建築資材メーカー・F社様

在庫拠点の分散化

在庫拠点(物流拠点)を分散することで、配送効率の向上が期待できます。また、納品場所や配達エリアとの物理的距離が縮まり、リードタイムが短くなります。その結果、全体の輸送コストの削減につなげることが可能になるのです。また、自然災害のリスクも軽減できます。例えば、首都圏に1ヶ所のみ在庫拠点を設置していた場合、首都圏で大きな地震や台風などの自然災害が発生すれば輸送がストップしてしまいます。その一方で、首都圏とその他エリアに在庫拠点を分散しておけば、輸送が完全にストップすることはありません。在庫商品への被害も抑えることができます。 ただし、在庫拠点を増やせばそれだけ拠点の維持や運営のコストもかかります。在庫の振り分け作業が発生したり、出荷する倉庫を注文ごとに指定したりといった手間がかかる可能性もあるので注意が必要です。こうした課題解決のため、在庫拠点の管理・運営をアウトソーシング化するという方法があります。

 

大和物流では、在庫拠点の分散化および在庫拠点の運営代行にも対応可能です。
下記のページでは、実際の事例を詳しく解説しています。
アパレル物流事例―ハミューレ株式会社様

将来的には「自動運転」という選択肢も?

ドライバー不足対策の一環として、トラックの自動運転化の実証試験が進められています。実現化はまだ先になるかもしれませんが、将来的には「トラックの自動運転化」も選択肢の1つとなることが予想されます。

大和物流からのご提案

2024年問題を解消するためには、在庫拠点の分散化・輸送形式の見直しなど複数の対策を組み合わせることが重要です。

 

大和物流では、物品に合わせた配送方法のご提案をはじめ、効率的な配送方法のご提案、物流拠点の運営代行などさまざまな視点から物流の効率化をサポートしています。
より詳細な情報は、以下のページにある資料からご覧いただけます。
 

 

以下では、大和物流が行っているサポート内容の一部を解説しています。

物流センターシステムの構築

効率よく物流センターの運営を行うためには、運営ノウハウの蓄積・活用が大切です。大和物流では、さまざまな物流センター業務に対応した運営システムの構築を行っています。業種や作業内容に合わせた物流ITシステムを提供中。各種インターフェースとの連携をはじめ、ロボットやマテハン機との連携に成功した実績もあります。 例えば、スポーツ用品の品目を扱った事例では、自社運用となるオンプレミス型システムを構築。システムをハンディーターミナル機器やピースソーター(自動仕分けシステム)と連携させることで、仕分け作業や出荷作業の効率化に成功しています。 基地局資材を取り扱った事例では、クラウド型システムを開発。商材に合わせて改良した倉庫管理システムによって、在庫管理をはじめ出荷履歴、返送品情報を一元管理できるようにした事例です。

配送計画・発送ルートの分析

大和物流では、拠点分析や配送ルート分析などにも対応しています。これらの作業を担っているのが、「輸配送管理システム(TMS)」です。 拠点分析では、納品先住所や配送日時、物量などの情報をもとに、配送距離や物量の傾向を専用システムで解析。分析内容から、拠点内の業務量や問題点を洗い出し、的確な出荷拠点の見直しを提案しています。 配送ルート分析では、店舗配置情報や出荷量などの情報をもとに、最適な配送ルートをご提案。店舗の荷受け時間をはじめ、細かい制約に合わせて配送シミュレーションを行うことができます。

 

物流ITシステムの実績・事例は、以下のページでさらに詳しく紹介しています。ぜひご一読ください。
物流ITシステム

まとめ

物流業界は、人材不足や長時間労働といった課題を抱えている業界です。そこに2024年問題が加われば、物流業界だけでなく荷主にも大きな影響が及びます。こうした課題を解決するためにも、共同配送やモーダルシフト、在庫拠点の分散化といった対策を取り入れることが重要です。 物流に関するお悩みのご相談やご依頼については、以下のお問い合わせページから随時受付中です。物流に関するお悩み・経営課題のお悩みは、大和物流までお気軽にご相談ください。