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人手不足・EC拡大時代の物流センターの選び方ー3つのポイント

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2018.06.12

近年は物流業界全体における深刻な人手不足、「働き方改革」に端を発する残業問題などを背景に、物流センターの移転・新設などの見直し時に重視すべきポイントが変わってきました。

 

センターの見直し・新設などを検討している荷主企業の方からも、どのような視点を持って考えたらよいのかご相談をいただくことが増えてきています。

 

この記事では、物流業界を取り巻く環境を踏まえて、物流センター評価に関する考え方の変化、選定基準となる検討のポイントについてご紹介します。

 

 

物流業界を取り巻く課題と世の中の流れ

物流センターに関する考え方は、数年前に比べて大きく変化しました。そこには、物流業界全般に重くのしかかる「人手不足」・「EC市場の拡大」という2つの要因が大きく影響しています。

 

①人手不足

日銀が発表した企業短期経済観測調査の「雇用人員判断指数」(※1)という指標を見てみると、「物流業界における人手不足の状況は、宿泊・飲食サービス業界に次いで2番目に高い」という実態が明らかになっています。

 

■雇用人員判断指数

※出典:日本銀行調査統計局「 短観(業種別計数)─2018年3月─第176回 全国企業短期経済観測調査」をもとに当社作成

 

日銀短観(業種別計数)

http://www.boj.or.jp/statistics/tk/gyosyu/2016/tkb1803.pdf

 

 

EC市場の拡大

Amazonなどに代表されるEC市場の急拡大に伴って、平成28年度の宅配便の取扱件数は約40億個と、過去5年間で約5億個も増加しました(※2)。さらに、再配達による業務量の増加も重なり深刻な人手不足という状況が一気に顕在化しています。

 

※出典:国土交通省「平成28年度 宅配便取扱実績について」をもとに当社作成

 

※2 国土交通省「平成28年度 宅配便取扱実績について」

http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000136.html

 

 

これらを背景に、2017年には大手宅配企業が相次いで運賃の値上げを発表。さらに、物流業界全体で古いタリフの撤廃やコストに見合った新タリフに変更する動きも加速しました。

 

その他にも、トラックドライバーの長時間労働も問題視され、中長距離を中心に車両不足が深刻化。運賃の高騰、リードタイムの延長が発生し、荷物が希望の日時に届かないといった荷主泣かせな状況も出てきています。

 

このような運賃の高騰やリードタイムの変更に伴って、一極集中型だった物流センターの分散化など、物流センターの見直しに着手する動きが活発になっています。

 

一方で、物流センターを移転すると従来の有利な単価の路線タリフがリセットされることを嫌って、センター移転になかなか踏み切れないという荷主側の声も聞こえてきています。

 

 

物流の最適化・合理化に向けて

物流の最適化・合理化にあたっては、物流センターの拠点数と立地の選定が最大のポイントとなります。

 

下図のように、物流センターコストと輸配送コストはトレードオフの関係にありますので、物流センターの数が増えるほど、拠点コストは増えるが配送コストは下がり、物流センターの数が減るほど、拠点コストは下がるが配送コストは上がります。

 

 

 

物流センターの見直しを進めるときは、物流サービスのレベルを満たす範囲内で、トータル物流コストが低くなる計画を作成しなければなりません。

 

また、物流センターの運営にかかるコストは賃料や人件費など固定的な費用が大半を占めており、拠点数が増えると在庫の増加にもつながることから、コストが同等であれば拠点数は少なく設計することが望ましいと考えるのが原則です。

 

しかし、近年の傾向としては、前述のとおり運賃の高騰や人手不足を背景に、輸配送コストの負担軽減を図るため拠点を分散化するケースが増えてきています。

 

 

物流センターの選定時に押さえておくべき3つのポイント

物流業界を取り巻く環境を踏まえて、これから物流センターの見直す際に、物流担当者が押さえておくべきポイントを3つご紹介します。

 

・ポイント1「拠点の立地・規模」

土地のコストや面積だけでなく、労働者人口も立地選定の要素として重要度が増してきています。

当該センターにおける物流サービスの安定という観点や中長期的なコストの観点において、自社物流かアウトソーシングかにかかわらず重要な要素となります。

 

センターの種類などにもよりますが、物流的に良い立地が確保できても人が確保できなければセンターは運営できないので、人手不足の観点から、パート作業員の雇用が見込める立地条件が良いと注目されています。

 

また、在庫集約・一元化のために物流拠点の大型化が必要ではあるものの、人が集まるレベルで拠点の規模を抑えるといった考え方も持っておく必要があります。

 

 

・ポイント2「設備機能・管理システム」

立地条件の検討と並行して、センターの特性に見合った機能などを判断・選定する必要があります。

 

例えば、周辺の人口が少ないエリアに大規模なセンターを設置する場合、必要な人手が十分に確保できない可能性があるので、マテハンやロボットなどの省人化の設備を導入するなどして、持続的に運営可能な計画を組む必要があります。

 

 

・ポイント3「輸配送モード」

荷主と納品先企業間で、どの輸送手段で運ぶのかを必ず把握・検討しておくべきです。

 

具体的には宅配便、路線便、チャーター便、ルート配送、海上輸送、鉄道輸送などの輸送モードのうち、どれを主に利用するのかによって立地の評価が異なってきます。

 

例えば、BtoCEC出荷を担うセンターであれば、出荷の大半は宅配便や路線便などとなりますので、宅配・路線事業者の集配センターとの距離も重要な要素となります。

また、宅配・路線出荷が大半の場合、トラックバースの必要数はBtoBセンターよりも少ないなど、輸配送モードの選択はセンターの必要スペックにも影響を与えるポイントとなります。

 

 

事例紹介-人手不足を拠点増設でカバーしてサービスレベルを維持

物流センターの見直しについて、小売事業者A社の事例をご紹介します。

 

<物流センター見直し前の状況>

A社は、商品を全国の販売店に発送するための物流ネットワークを構築しておりましたが、「翌日午前中に注文者の手元に届ける」というサービスレベルを維持するために、センターの見直しに着手されました。

 

「翌日午前中着」のサービスレベルを前提に、当初は東日本と西日本の2拠点体制で運用しており、配送は主に路線便を利用していました。

 

しかし新商品のリリースと同時に注文が殺到し、予想以上に出荷量が増大。新商品がリリースされる度に西日本の物流センターにおける出荷作業が追いつかなくなるという問題が発生しました。

 

<物流センターの見直し後>

西日本の物流センターでのスタッフ増員では対応できないと判断し、翌日午前中着のサービスレベルは維持するという荷主の要望に応える形で、出荷量が多い関西エリアに新センターを開設しました。

 

 

西日本物流センターで行っていた出荷以外の各種業務も関西の新センターに移管することで、西日本物流センターでは入出荷作業に集中することができ、スピーディーな出荷体制を実現。

 

このケースでは、緊急対応として発生していたコストの圧縮によって新センターでの追加コストを吸収し、トータルコストも維持しながらサービスレベルの維持、安定した作業体制の構築に成功しました。

 

 

まとめ

人手不足、EC市場の拡大いった要因によって、業務量の増加、運賃の高騰など物流業務を取り巻く環境は大きく変化しており、これからも変化し続けていきます。

 

物流センターの見直しは時間と労力を要すものですが、事業環境に大きな変化が起きている今、自社にとって最適な物流のあり方を見直すにはとても良い時期であるといえるでしょう。

 

物流の合理化・最適化に向けて、いま一度、自社の物流戦略を見つめ直してみてはいかがでしょうか。