物流用語として使用される「安全在庫」について、解説しています。
(英語:safety stock、よみ:あんぜんざいこ)
安全在庫とは
安全在庫とは、必要なモノを必要なときに必要なだけ供給する顧客サービスを提供するために、需要の不確実性に対して、供給できない状態(欠品、品切れ)を防ぐために設定する在庫のことをいいます。
JIS規格では、安全在庫を次のように定義しています。
安全在庫:需要変動または補充期間の不確実性を吸収するために必要とされる在庫(日本工業規格)
安全在庫の留意点
安全在庫は、需要の不確実性に対して、欠品を防止するために設定するものですが、欠品を許容せずに安全を見すぎることは、在庫過多につながる可能性がある点について、留意して運用する必要があります。
つまり、在庫を抱えることで欠品リスクを減らすことができる一方で、在庫を抱えすぎるとキャッシュフローが悪化し、余剰在庫の陳腐化が発生するなど、経営数値に重大な損失を及ぼすリスクがあるということです。
アパレル業界における例
例えば、ZARA(スペイン:Inditex社)は、各商品の生産量をあまり増やさずに、シーズン立ち上がり時の投入商品の売れ行きや世界中の店のお客様の声によってシーズン中にも新商品の企画・生産を進めるなど、基本的に商品を売り切るスタイルであるため、安全在庫の概念は必要ありません。
一方、ユニクロ(日本:株式会社ファーストリテイリング)の場合、ベーシックなデザインの商品の品揃え良く提供するスタイルのため、在庫管理は顧客満足度にも影響する重要な項目であり、安全在庫が必要といえます。